遺産分割協議

分割協議がまとまらない

あなたは遺産分割という言葉をご存知でしょうか?
一度は耳にしている方も多くいらっしゃると思います。
相続の手続において、亡くなった方の財産を、相続人同士で分割することを言います。

相続人同士で争うと分かっているので、わざわざ相続の話し合いをせずに放置しておきたい。
亡くなってすぐは葬儀や法要でバタバタするので、1年ほど経って落ち着いてから遺産分割について話し合いたい。 
そのように思っている方もいらっしゃると思います。

では、なぜ遺産分割をするのでしょうか?
必ず、遺産分割はしなければならないのでしょうか?
遺産分割をしないでそのままにしていたらどうなるのか?
まず、ここから考えてみましょう。

相続で争わないためにも遺産分割協議が必要です

相続が開始して、相続人が数人いる場合、相続する財産は共有になります(民法898条)。
しかし、特に不動産の場合、共有名義のままだと全員が同意しないと売買または名義変更などができません。
自分の持ち分だけを処分しようとしても、買おうとする人はなかなかいないでしょう。
そして、そのまま放置して、更に相続が発生した場合、共有者が更に増えてますます処分が困難となります。
これまで福島県いわき市において実際にあった事例として、相続の手続の際、登記名義人を調べてみたら江戸時代の生まれの人のままだったということがありました。
これは極端な例ですが、祖父の代から名義変更していないという例は珍しくありません。
このような場合、現実にその土地を使用している人が自分の名義に書き換えたいと思っても、相続人が多すぎて、自分では連絡がつかないという不都合が生じます。
このようなことを防ぐためには、相続が開始された時にきちんと特定の相続人の所有を確定して、共有関係を解消しておくべきでしょう。
この共有の状態を解消して、特定の相続人に帰属させるため遺産分割の手続が必要になるのです。
弁護士 佐藤剛志は、このような複雑な事案の依頼も数多く受けてきたため、遺産相続問題でお悩みの方のお力になれると考えています。

遺産分割手続の2つの方法

①遺産分割の方法(手続面)

◎遺言による分割

被相続人の遺言により遺産分割方法の指定があれば、この方法が優先されます。
遺言を遺しておくことは、相続人による争いを避けるために有効な手段なのです。

◎協議による分割

遺言がない場合や遺言から漏れている財産がある場合などは、遺産分割協議によることになります。
相続人全員の合意があれば、遺言に反する分割をすることもできます。

◎調停・審判による分割

遺産分割協議は、それぞれの相続人の利害が絡むのでなかなかまとまらないことが多いです。
この場合には、家庭裁判所に申立をして、調停や審判の手続によって遺産分割をすることになります。

◎裁判による分割

調停・審判の内容に不服がある場合には、裁判により解決することになります。

②遺産分割の方法(内容面)

◎現物分割

現物それ自体を分割する方法です。
例えば、甲土地・乙土地を分筆し、それぞれを相続人で分け合う場合などです。
・個別配分(現物分割の1つとされることもありますが、甲土地をAに、乙土地をBに配分する場合です)。

◎共有分割(これも現物分割の1つです)

遺産の一部または全部を、具体的相続分による物権法上の共有取得とする分割手段です。
例えば、ある不動産の持分につき、妻は5分の3、長男は5分の1、次男は5分の1の各持分割合で共有取得するといった内容の共有分割が考えられます。
したがって、ある財産を共有分割とした場合には、遺産分割後においてもなお共有関係が継続することになります(但し、その後の共有関係の解消には、遺産分割手続ではなく、共有物分割請求をすることになります。)。

◎換価分割

遺産を第三者に売却し、換価した後、その売却代金を共同相続人間で配分する分割手段です。
例えば、空き家となった被相続人の自宅不動産を地元の人に売却し、その代金を相続人全員で配分するといった内容の換価分割が考えられます。

◎代償分割

一部の相続人に法定相続分を超える額の財産を取得させた上、他の相続人に対する債務を負担させることにより全体の配分バランスの調和を図る分割手段です。
例えば、遺産が居住用不動産のみで、現にそこに相続人である妻が生活しているため、妻の生活関係の安定を考慮しなければならない場合に、他の相続人である子供には妻が相応の代償金を支払うといった内容の代償分割が考えられます。

遺産分割協議の意義

  • 預金はいらないけれど、事業に必要な土地建物が欲しい!
  • 相続人の1人だけが遺産分割に反対している時はどうすればいいのか?

遺産分割協議は、どの相続人が具体的にどの遺産を取得するかを決める手続です。
全ての相続人が分割の内容に納得して合意することができれば、分割についての問題はありません。
(ただし、この場合でも後々「そんな合意はしていない」などと争われることのないように遺産分割協議書を公正証書として遺しておくとよいでしょう。
また、相続により不動産の移転登記をするときにも、所有権が移った事実を登記所に対して証明するため、遺産分割協議書が要求されたりします。)。
しかし、実際には自分が亡くなった親の面倒を見たからとか、他の相続人は生前親から多額の援助を受けていたから自分の方が多くもらえるはずだ等の理由で、なかなか分割協議がまとまらないということも決して珍しいことではありません。
話し合いでまとまらない場合には、審判手続や裁判手続によって解決せざるを得ない状況となります。

弁護士に依頼するポイント

弁護士に依頼するのは審判手続や裁判手続になってからとお考えかもしれませんが、遺産分割において何がポイントになるか、単なる感情論ではなく、どのようにすれば分割後に財産を有効に活用できるのか適切なアドバイスができると考えます。
遺産分割で争いに発展するかもしないとお考えの方や、親族の争いに直接かかわりたくないとお考えの方は、いわき市の佐藤法律事務所にご相談下さい。
全ての相続人が納得する遺産分割はなかなか難しいですが、より円満な解決が図れるように、佐藤法律事務所の弁護士はお力になりたいと考えています。

遺産分割協議の手続(流れ)

遺産分割協議は、当事者の話し合いによって決めるものですので、特に決まった手続というものありません。
ここでは、大まかな流れについて弁護士が解説します。

1.相続人の確定
遺産分割協議は、必ず共同で相続人全員が参加しなければならないため、参加しなかった者が一人でもいるとその協議は無効となります。
また、成立した遺産分割協議に参加した者の中に廃除の申立を受けていた者など、相続権を有しない者がいた場合にもその協議は無効となります。
せっかく成立した協議が後で無効とならないように、まず最初に相続人を確定することが必要です。
2.遺産の確定
遺産分割の協議の対象となる財産について確定します。
まず、どのような財産があるのかという調査をします。
そして、不動産や株式等の評価が必要なものは、評価をして金額を確定します。
3.各相続人の取得額の確定
法定相続分を前提に、特別受益寄与分がある場合は、それを考慮して各相続人の具体的な取得額について調整します。
4.具体的協議
具体的な取得額を元に個別の財産について分割方法を決めます。
土地建物を配偶者、預金は長男など具体的に決めます。
5.遺産分割協議書の作成
協議の内容が決まったら、その内容を確認して遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名捺印します。
6.執行
遺産分割協議の内容に従って、それぞれの財産を相続人に帰属させ、不動産は所有権移転登記をするなど、協議の内容を実現する手続をとります。

遺産分割の当事者

遺産分割の当事者としては、通常は共同相続人ですが、この他に以下の者も含まれます。
①割合的包括受遺者(民法990条)
例えば、長男の妻に遺産の1割を与えるという遺贈がされていた場合など、遺産の一定割合を遺贈するとされた場合の受遺者です。
②相続分の譲受人(民法905条)
③遺言執行者が指定されている場合の遺言執行者(民法1006条、1012条)
④共同相続人が未成年者、被後見人等制限行為能力者である場合の法定代理人
⑤共同相続人が行方不明の場合の不在者財産管理人(民法25条)

遺産分割の効力

遺産分割協議が整えば、相続開始の当初からそれぞれの相続人がそれぞれの財産を取得したものとされます(民法909条本文)。
ただし、すでに財産を第三者に処分してしまった場合などは、その者を保護する必要がありますので、第三者の権利を害することはできない(民法909条ただし書)とされます。
例えば、遺産分割前に不動産を処分してしまい、譲り受けた者が登記を備えていた場合、遺産分割協議によってその不動産を得た相続人は、譲り受けた者に対して、権利を主張することはできません。

遺産分割協議のやり直し

遺産分割協議がようやくまとまったのに、後から遺言書が見つかった。
このような場合に遺産分割協議をやり直すことはできるでしょうか。
遺産分割協議は、各相続人の合意に基づくものであり、全員が合意をすればやり直しが可能です。
ただし、実際はようやくまとまったものを一からやり直すということは困難でしょう。
この場合には、家庭裁判所に遺産分割の調停あるいは審判手続を求めるか、裁判手続により個々の財産の帰属の確認等を求めることになります。

遺産分割に関する改正

平成30年の改正法により、遺産分割に際して、以下の点が改正されました。

長期間婚姻している夫婦間で行った居住用不動産の贈与等を保護するための施策

婚姻期間が20年以上の夫婦について、一方が他方に居住用不動産を遺贈又は贈与した場合に、原則として特別受益として扱わなくてよいという制度が新設されました。
この場合、居住用不動産については遺産として計算されずに、残りの財産が遺産分割の対象となります。

現行の制度では、配偶者に居住用不動産を贈与したとしても、その価格も遺産に含まれ、その金額を前提に、遺産分割が行われていました。

例えば、配偶者と子が相続人の場合に、居住用不動産(評価額2000万円)を配偶者に生前贈与していた場合
被相続人の財産が預金2000万円のみだと

長期間婚姻している夫婦間での居住用不動産の贈与の保護

  • 長期間婚姻している夫婦間での生前贈与後の居住用不動産の贈与の保護
  • 子の居住用不動産の贈与の保護

上の図のようになり、配偶者は預金を受け取れず、当座の生活費がないということになりかねません。
夫婦間でこのような生前贈与を行うことは、残された配偶者の生活保障や長年の貢献に報いるために行われることが多いのですが、このような贈与をした者の意思が無視されることともなっていました。

居住用不動産の贈与の保護改正後の制度

改正後の制度だと、同様のケースで生前贈与の建物(2000万円)は、遺産の金額に含まれないので、遺産は預金の2000万円のみであり、右の図のようになり、被相続人の意思を尊重した相続ができることになります。

相続された預貯金債権の仮払い制度

相続された預貯金債権は、遺産分割の対象財産となるので、遺産分割が完了するまで、共同相続人による払い戻しができません(最高裁平成28年12月19日判決)。
そこで、例えば葬儀費用に使いたいというような場合でも、払い戻しをすることができないという不都合がありました。

改正法では、
①家庭裁判所の判断で仮払いが認められる(仮処分の要件の緩和)。
②一定額までは、単独での払戻が認められる。
以上の制度が新設されました。

※単独で払い戻しができる額=相続開始時の預貯金債権の額×1/3×当該払い戻しを行う共同相続人の法定相続分(改正後民法909条の2)
例えば、預金債権600万円で、相続人が配偶者と子1人の場合、
子が払い戻しできる額は、600万円×1/3×1/2=100万円となります。

ただし、一時的に必要な金額の払戻を認めるものなので、上限が設けられることとされ、具体的にいくらにするかについては、現在、法務省令で検討されています。

相続開始後の共同相続人による財産処分に対する制度

現在の制度では、特別受益のある相続人が、遺産分割前に遺産を処分した場合に、不公平な結果が生じます。それを是正するための制度が新設されました。

例えば、相続人が長男、次男の2名 
遺産が預金2000万円
長男に生前贈与2000万円(特別受益)
長男が相続開始後に密かに1000万円を引き出していた場合

本来であれば、遺産の総額は、預金2000万円+長男の特別受益2000万円=4000万円
長男、次男それぞれ1/2ずつ取得 各2000万円
長男は既に特別受益で2000万円を得ているので、次男が預金2000万円を取得します。

しかし、長男が1000万円を引き出していた場合、預金は1000万円しか残っていませんから
実際には、長男は3000万円(特別受益1000万円+引き出した預金1000万円)
次男は1000万円(残りの預金)を取得していることになり、長男が得をしていることになります。

従来、この不公平を解消するには、不当利得返還請求等による方法はありましたが、あまり救済されないことが多かったのです。

改正法では、処分をした相続人(長男)の同意を得ることなく、それ以外の相続人(次男)の同意があれば、処分された財産(預金1000万円)について、遺産分割の対象に含めることができることとされました(改正後民906条の2)。
この例の場合、長男から次男へ1000万円の代償金を支払うことになります。

できる限り相続人全員が納得いく遺産分割をしましょう

親族間で争いはおこしたくないものです。
きちんと相続の手続をやらずにいると、後の世代で面倒な手間がかかったり、名義変更手続による費用がかかったりと、迷惑をかけることになるので、自分の代できちんと相続の手続を終わらせるよう努めましょう。
相続人同士で話し合いがまとまらない時や遺産分割でお悩みの方は、佐藤法律事務所へご相談下さい。

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