あなたの条文(4月29日) 民法429条 不可分債権者の一人との更改又は免除
2020年04月29日
日付から、日付の数字に関連する条文を紹介するこのコーナー、4月29日の今日は、「429条」がらみの条文を紹介したいと思います。
今日は、民法429条を取り上げます。この4月から、新民法が施行されております。この条文は改正された条文の1つです。
改正前の民法429条は、以下のように規定していました。
「(不可分債権者の一人について生じた事由等の効力)
第四百二十九条 不可分債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があった場合においても、他の不可分債権者は、債務の全部の履行を請求することができる。この場合においては、その一人の不可分債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益を債務者に償還しなければならない。
2 前項に規定する場合のほか、不可分債権者の一人の行為又は一人について生じた事由は、他の不可分債権者に対してその効力を生じない。」
改正後は、以下のように改正前の2項が削除されました。
「(不可分債権者の一人との間の更改又は免除)
第四百二十九条 不可分債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があった場合においても、他の不可分債権者は、債務の全部の履行を請求することができる。この場合においては、その一人の不可分債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益を債務者に償還しなければならない。」
甲・乙・丙の3人が丁という人から家1軒の給付を受けるという債権があるときに、甲と丁の間で、これに代えてマンションの1室を給付するという内容の更改契約をした場合などが考えられます。この場合、乙と丙は、なお丁に対して、家1軒の給付を求めることができますが、給付を受けた乙か丙は、甲に利益を分ける必要があり、甲は丁に分与された利益を返還しなければならず迂遠ですね。そこで、この利益は、弁済を受けた債権者が直接債務者に返すこととされたのです。
昨日示した条文で、不可分債権については連帯債権の規定が準用されることとなりました。そうすると、民法435条の2も準用されるため、旧2項を残しておく必要がなくなり、削除されるに至っております。