自己破産について
- 債務額が大きくなりすぎて、返済ができない!
- 借金を整理して一から出直したいけれど、自己破産するといろいろ生活が制限されるのでは?
- 車がないと生活できないのだけれど、自己破産すると車も差し押さえられてしまうの?
- 自己破産してしまったら、会社を辞めなくてはいけない、選挙権も行使できなくなる!
このように不安に思っている方もいらっしゃいますが、必ずしもそういうわけではありません。
まず、弁護士が正しい知識を説明します。
自己破産のメリット・デメリット
自己破産のメリット
自己破産後(破産手続開始決定後)の収入を全て自分のこれからの新しい生活のために使える。
自己破産なら、経済的に一度つまずいてしまった人が、ゼロから再出発できます。
自己破産の依頼後は、原則として取立てが止まる
※この点は自己破産のみならず民事再生・任意整理でも同様です。
自己破産のデメリット
ブラックリストへの記載
金融機関等から、一定期間今後の借入ができなくなります。
※この点は自己破産のみならず民事再生・任意整理でも同様です。
所有する主要な財産の換価
自己破産の開始後、破産者は自己の財産を管理・処分する権利を失い、管財人がこれを管理・処分することになります。
但し、生活に必要なもの(普通の家財道具、99万の現金等)は、法律及び裁判所の運用基準により処分されません。
これ以外の財産でも裁判所の許可を得ることにより処分しないでよいことがあります。
また、日常生活に必要とされる自動車については、その評価額が20万円を超えない場合には、処分されないという運用がなされています。
なお、相続財産・保険解約返戻金など、自分の財産ではないと思っているものが処分されてしまうことがありますので注意が必要です。
一定の資格制限(免責が確定すれば制限は解除されます)
制限を受ける職業 ── 弁護士、司法書士、税理士、行政書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、社会保険労務士、宅地建物取引士、警備業者、警備員、生命保険募集員、損保代理店、証券会社外務員、古物商等にはなれません。
制限を受ける地位 ── 後見人、遺言執行者等にはなれません。
居住等の制限
自己破産すると、破産者は破産手続中、裁判所の許可がなければ転居や長期の旅行をすることができません。
郵便物の制限
自己破産手続中は、郵便物が管財人のところへ転送され、管財人が郵便物を開け中身を確認することになります。
自己破産手続の情報が官報に掲載される。
自己破産は裁判所を通す手続なので、破産したことを完全に秘密にすることはできません。
免責が不許可となった場合の支払いは免れない。
自己破産をしても、免責不許可事由があり裁量免責も認められない場合、債務の支払責任は免除されません。
一般に言う「自己破産」は、厳密には、破産手続と免責手続とに分けられます。
破産手続とは、支払不能の状態であることを確認した上、財産を処分して金銭に換え債権者に分配する手続です。
その後の免責手続で免責の決定を受けることにより、借金を支払う必要がなくなりますが、免責不許可とされると支払いを免れることができません。
免責が不許可とされる事由は、
- ギャンブルや浪費によって多額の債務を負担してしまった場合
- 特定の債権者にだけ弁済をしていた場合
- もはや支払いができないような状態にあるのに、それをごまかして新たな借入をした場合
- 債権者を害する目的で財産を隠したり破損させた場合
- 前回の自己破産の免責許可決定の確定等から7年が経過していない場合
ただし、具体的な行為がこれらにあたるかは金額・頻度等とも関連しますので(例えば、パチンコをしていたとしても普通の人が使う程度の金額であれば免責されることもあります)、個別のケースによります。
免責の見込みがあるかどうかは、具体的な事情を詳しく伺った上で回答を差し上げています。
自己破産手続の流れ
同時廃止と管財手続の違い
自己破産手続には、管財手続と同時廃止手続の2つのタイプがあります。
これらは、破産と免責のような関係にはなく、手続の複雑さ・慎重さによる分類です。
管財手続では、管財人という人が高額財産の管理処分や借入事情の調査を行います。
同時廃止では、管財人がつかず、自己申告に基づく書面審査が中心となります。
法律上の建前は管財が原則
処分すべき財産がある場合や、後記の免責不許可事由がある場合、その他調査の必要がある場合には、管財手続となります。
但し、例外的に財産がなく免責についての調査の必要もない人は、同時廃止となります。(この選択は裁判所が行うので、弁護士がどちらになるか保証できない点には注意が必要です)。
自己破産手続の流れ
1.弁護士に相談・自己破産の依頼
弁護士と相談し、自己破産だけではなく他の手段も含め最適な解決方法を検討。
この弁護士になら任せられると判断した場合、委任契約を締結。
弁護士は原則としてその日のうちに介入通知を各業者に発送します。(これにより借金の取立てが原則として止まります。)
2.債権債務調査
あなたの本当の借金額(法定利息に従った金額)を調査(少なくとも3ヶ月程度)。
3.申立書の作成
財産状況・借金の原因等を説明した自己破産申立の書類を弁護士が作成。
※必要書類収集にはご本人にも協力していただきます。
必要書類はかなりありますが、これが集まらないと申立ができません。
書類を揃えることは時間や手間がかかりますが、弁護士がしっかりサポートいたします。
借金を大幅に減額できるという大きな効果を得る手続をするためなので、ご協力ください。
4.申立
弁護士が裁判所に自己破産の申立書を提出し、あなたの財産状況・借金原因を説明。
このときに同時廃止か管財手続かが決まります。
借金が多額の場合や、借入原因に不振な点がある場合などは管財手続となります。
~管財手続となった場合~
5.管財人との面接
依頼者が弁護士と一緒に裁判所が選任した管財人と面接。
面接の結果、家計簿を提出するなどの宿題を出されることも。
6.債権者集会
裁判所に出頭し、管財人の財産調査等の結果報告を聞く。
配当する財産がない場合は異時廃止となり管財人の調査は終了。同時に免責についての審尋もなされる。
7.免責
免責審尋の後1週間程度経過した後に免責決定が下される。
これが官報に公告された後、2週間以内に異議が出なければ、免責が確定し借金を支払わないでよくなります。
~同時廃止手続となった場合~
5.免責審尋
裁判所に行って、裁判官からの質問に答える(いわきの裁判所では、出頭しないでもよい代わりに、あらかじめ裁判所から宿題を出されるので、これを提出することになります)。
事前に弁護士が調査を尽くすことが前提になっているので、質問はかなり形式化されている。
業者からの免責に対する異議が出された場合、その旨指摘される。
6.免責
免責審尋の後1週間程度経過した後に免責決定が下される。
これが官報に公告された後、2週間以内に異議の意見が出なければ、免責が確定し借金を支払わないでよくなります。
ご依頼を受けるにあたってのお願い
隠し事はしないでください
自己破産の場合に限りませんが、弁護士に相談する際は、隠し事は絶対にせず、真実を全て話してください。
自己破産手続進行中に、あなたが隠していた事が判明した場合、免責不許可となる可能性があります。
免責を得るのが、自己破産をする目的なのですから、誠実に対応して、慎重に手続を進めることが大切です。
自己破産は逃げ道ではなく解決方法です。
多重債務の苦しみから解放されましょう。
自己破産と聞くと、あまり良くないイメージを持たれていると思います。
確かに多くの財産が制限されてしまうので、債務整理の方法としては最終的な手続になります。
しかし、今まで借金により精神的に不安が襲ってきたり、夜も眠れない日々だったのが終わりになります。
借金問題を自分で解決できなくなった方は、いわき市の佐藤法律事務所へご相談下さい。
あなたにあった、最適な方法をご提案いたします。