児童虐待と体罰禁止 1
2019年03月08日
弁護士の佐藤剛志です。
最近は、児童虐待が問題になっていますが、これを受けて政府は、児童虐待防止法と児童福祉法の改正案について今国会での成立を目指すということです。
しつけ名目での体罰の禁止を明記し、その主体を保護者の他、里親や児童福祉施設の施設長も含めるものとするというものです。
しつけとして許されるのはどこまでか、どこからが体罰となるのかということを明確にするのはそれほど簡単ではないかと思いますが、具体的な線引きが必要になってくるでしょう。
私が子供の頃は、いたずらなどをすると、押し入れに閉じ込められたり、柱に縛り付けられたりということも割と多くの家庭でありました。
これらは、体罰として禁止されることになるでしょう。
おしりをたたくということも、暴力を加えるので体罰にあたると言えるでしょう。
ただ、いたずらをした子供のおしりをたたいたので、体罰禁止に違反したとして、何らかの罰則を科すというのもなかなか難しいと思います。
どのような行為を体罰として禁止するか、十分な検討が必要だと思います。
また、児童相談所の機能を強化し、保護者から子どもを引き離して保護する「介入」を担当する職員と、保護者の相談や指導など「支援」にあたる職員を分けるという内容も盛り込まれるようです。
児童相談所には「介入」と「支援」という機能がありますが、両方を同じ職員が担当する場合、将来的な「支援」のため親権者等との関係構築を重視する結果、緊急に児童を保護する(「介入」)必要性があっても、容易に「介入」に踏み込めないという問題が生じていたので、これを解消するためです。
児童相談所の態勢をどこまで整えられるか、予算面、人員配置面などで難しい問題もあるかと思いますが、その強化が求められると思います。