相続法改正②
2018年12月06日
弁護士の佐藤剛志です。
前回お話ししました、相続法の改正についての続きです。
相続については、以下のように数回にわたって改正されています。
1 旧民法(明治時代から第二次正解大戦直後まで)
2 応急措置法(昭和22年5月3日から昭和22年12月31日まで)
3 新民法(昭和23年1月1日から昭和37年6月30日)
4 昭和37年改正民法(昭和37年7月1日から昭和55年12月31日まで)
5 昭和55年改正民法(昭和56年1月1日から現在まで)
6 平成30年改正民法(平成30年1月13日から段階的に施行)
1の旧民法の時代は、戸主がすべての権利義務を相続する家督相続制度が採用されていました。
これが、「個人の尊厳」と「両性の本質的平等」を謳った日本国憲法の制定に伴い、2の応急措置法で家督相続の制度が廃止され、配偶者が常に相続人となることが定められました。
それでも配偶者の相続分は、以下のように現行法より低いものでした。
相続人が配偶者と直系卑属の場合 配偶者が1/3、直系卑属が2/3
(※「子」ではなく「直系卑属」とされていました。つまり孫以下も含まれていました。)
相続人が配偶者と直系尊属の場合 配偶者が1/2、直系尊属が1/2
相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合 配偶者が2/3、兄弟姉妹が1/3
3の新民法は、応急措置法と基本的には同じですが、兄弟姉妹の直系卑属の代襲相続が認められ、半血の兄弟姉妹の相続分は全血の兄弟姉妹の1/2とされるなどの違いがあります。
4の昭和37年改正では、「直系卑属」を「子」に限定することで孫以下には固有の相続権がないことを明記しました。
その他同時死亡の推定規定(32条の2)や特別縁故者の規定(958条の3)を設けるなどしました。
また、相続放棄は代襲原因とはならないとされました。
長くなるので、次の昭和55年改正(現行法)の説明は次回にします。