あなたの条文(3月22日) 刑事訴訟法322条 伝聞例外
2020年03月22日
日付から、日付の数字に関連する条文を紹介するこのコーナー、3月22日の今日は、「322条」がらみの条文を紹介したいと思います。
今日は、昨日に引き続き、刑事訴訟法を取り上げます。刑事訴訟法322条は、以下のように規定しています。
「〔被告人の供述書類〕
第三百二十二条 被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。
② 被告人の公判準備又は公判期日における供述を録取した書面は、その供述が任意にされたものであると認めるときに限り、これを証拠とすることができる。」
3月20日のところで、伝聞法則を定めた刑事訴訟法320条1項を取り上げました。今回は、伝聞法則の例外の1つである刑事訴訟法322条です。この条文は、被告人の供述調書について規定しておりますが、自白を内容とする被告人の供述調書が採用されると確実に有罪になりますので、実務上、無罪を争う事件などでは、伝聞例外の要件を充たすかどうかについて、激しい攻防がなされることが多いです。
伝聞証拠を排除すべきという原則論と、伝聞証拠を使用すべき必要性とを比較して、一定の場合には、伝聞証拠であっても証拠として認められるものとされています。伝聞法則のポイントとして、「(主に被告人の)反対尋問権を確保する」ということがありましたが、被告人が不利益な供述をしたような場合、「被告人自身の反対尋問」を確保する必要がありません。そのため、不利益な事実の承認を内容とする被告人の書面には、証拠能力を認めることとされております。
ただし、以前取り上げた刑事訴訟法319条に準じて、任意になされた供述ではない疑いがある場合には、これを証拠とすることはできないとされております。
一方、被告人に不利益な事実の承認が含まれていない場合、検察官による反対尋問を経る必要がありますが、反対尋問に代わる要件として、「特に信用すべき情況の下にされたものであるとき」には証拠能力が認められるものとしています。