結婚詐欺の被害に遭った

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結婚詐欺の被害に遭った

婚約相手と連絡が取れなくなったのだけれど、これって結婚詐欺?

一般的に、交際中(と思っていた)相手にまとまったお金を貸していたが、急に連絡が取れなくなったような場合、結婚詐欺だったと考える余地があります。
単に、相手側の心変わりであって、婚約破棄の問題とも考えられますが、お金を貸していた場合には、初めからお金を取ることが目的だったとも考えられます。
結婚詐欺にあった、結婚詐欺が疑われる、そのような場合は何ができるでしょうか?

結婚を強制する?

人の意思を強制することはできませんから、これは認められません。

慰謝料、損害賠償請求をする

詐欺被害にあった場合、金銭を騙し取られていますから、不法行為(民法709条)として損害賠償を請求することができます。

また、結婚するという期待を裏切られたのですから、慰謝料(精神的損害に対する賠償)も請求できるでしょう(民法709条、710条)。(ただし、この慰謝料は、不当な婚約破棄の問題として請求することもできます。)
ただし、これらの請求をするためには結婚詐欺の事実により損害が発生したことを、結婚詐欺にあった被害者の方で証明しなければなりません。

また、結婚詐欺が証明されて裁判で勝訴したとしても、実際に賠償金・慰謝料を得ることができるかは、また別問題となります。
詐欺をした者は、そのお金を使ってしまっていると考えられますから、現実問題として賠償金を払ってもらえるか、強制執行をしたとして現実に賠償額を満たすだけの金銭を得られるかという問題が生じます。

現実にお金を払ってもらえるか、強制執行が成功するか?という点は、通常の民事の損害賠償でも問題になりますが、詐欺事件は一般的に被害額が大きく、詐欺者がすでにだまし取った金銭を使ってしまっており、他にめぼしい財産もないことが通常ですので、現実に回収することは難しいものと考えられます。

まず、どのようにすれば結婚詐欺の事実を証明することができるかを考えてみましょう。
ここで証明しなければいけないのは、詐欺の事実、つまり、

①客観的に見て詐欺の事実があったこと(騙す行為と財産的な損害の発生)
②最初から金銭を騙し取る意思があった(詐欺の意思)

についてです。

①客観的に見て詐欺の事実があったこと
(騙す行為と財産的な損害の発生)

①は、加害者が被害者と結婚すると誤解させて(返済するつもりもないのに)金銭を得た(だまし取った)という事実です。
細かく分けて考えると、

  • a)被害者から加害者にお金を貸した(お金が渡った)という事実
  •  
  • b)被害者が相手が結婚してくれると誤信したという事実
  •  
  • c)被害者が相手が結婚しないことが分かっていたならお金を渡すことはなかったという事実
  •   
  • d)加害者が被害者に対して結婚することを誤信させたという事実
  •  

が必要になります。

a)被害者から加害者にお金を貸した(お金が渡った)という事実

まず、a)のお金を貸した(お金が渡った)という事実は、そんなの当り前だと思われるかもしれませんが、実際にお金を貸した(渡した)ことを証明することは意外と難しいのです。
親しい間柄であれば、借用書や領収書を書くことはないでしょうし、お金を貸した(渡した)場面を目撃している第三者もなかなかいないでしょう。
詐欺をするような人物がこのようなヘマをすることも考えにくいでしょう。
そこで、裁判官に「お金を貸した(渡した)という事実」があったという心証を形成してもらえるような事実、例えば、貸した金額を銀行から引き出した事実、お金を貸した時期に加害者が特段の収入もないのに高額な商品を購入していた事実など、お金を貸したことを推認させる事実について主張をしていくことになるでしょう。

b)被害者が相手が結婚してくれると誤信したという事実

次に、b)被害者が相手が結婚してくれると誤信したという事実ですが、詐欺は相手方が誤信している状態を利用して財産的な処分行為をさせるものです。
結婚詐欺の場合には被害者は、相手が結婚してくれると誤信したからお金を貸す(渡す)のです。
この結婚すると誤信したということはどのように証明すればよいでしょうか。
誤信したということは内心の事情なので、被害者が誤信したと思っていればそれでよいかというとそういうことでもありません。
一般的に考えて誤信するのが当然という事情が必要になるでしょう。加害者と被害者の交際期間や密度など具体的な状況から判断されるでしょう。

c)被害者が相手が結婚しないことが分かっていたならお金を渡すことはなかったという事実

次に、c)被害者が相手が結婚しないことが分かっていたならお金を渡すことはなかったという事実は、例えば、結婚とは関係なく相手の事業に投資する目的でお金を貸したという場合は、(一般的な詐欺にはなりますが、)結婚が目的ではないので「結婚詐欺」ではありません。

d)加害者が被害者に対して結婚することを誤信させたという事実

最後に、d)加害者が被害者に対して結婚することを誤信させたという事実ですが、「結婚詐欺」は、騙された人は、「結婚する」と思ったから金銭を貸す(渡す)のですから、結婚することを誤信させることが必要になります。
この事実もなかなか証明するのは難しいと言えます。

②最初から金銭を騙し取る意思があった(詐欺の意思)

実際に結婚するカップルでも、相手に対して結婚すると思わせるというのはどういうときでしょうか。
はっきりプロポーズしたというのであれば明確ですが、付き合っていくうちに自然ということもあるのではないでしょうか。
そして、万が一詐欺を疑われた場合のことを考えて、言質を取られないように、はっきりと「結婚しよう」とは言わず、それとなく結婚をにおわせる態度をとるようなことが考えられます。

例えば、住む場所を相談するとか、子供が何人欲しいとか、どこどこのホテルが良い式場だとかなどの結婚を誤信すると考えられる会話など、具体的な個々の事情を積み重ねて、だから結婚すると誤信したんだと証明することになるでしょう。

SNSでの会話は有力な証拠となりえる

また相手方との交際期間や家族や友人のことをお互いにどれだけ話題にしていたかなども、結婚を誤信したことを証明する事情として考えられるでしょう。
特にSNSでの会話は、全体の流れから当事者の意思を推測することができますので、有力な証拠となると考えられます。

②は、お金を借りていたが、最初は結婚するつもりがあり、結婚直前に嫌になって辞めたというような場合は、詐欺を証明するのは難しいでしょう。

詐欺は、騙す意思があって行動するから、詐欺なのです。
お金を借りたときは結婚するつもりであり、あるいは後で返す意思があった(たまたまその時資力がなく返済することができなかった)場合は、騙し取ろうという詐欺の意思がなく、詐欺は認められないということになります。

弁護士へ相談するということは、強い味方ができるということ

結婚詐欺(詐欺一般がそうですが)は、なかなか立証することが難しいです。
個々のケースで、どのようにすれば結婚「詐欺」の事実を立証できるか、詐欺の被害を回復するためにどのような方法を取るのがよいか、適切なアドバイスをいたします。

この記事を書いた人

佐藤 剛志

弁護士 佐藤 剛志
福島県いわき市出身
慶応義塾大学卒業
2005年 福島県いわき市に佐藤法律事務所を開所

地域の皆様から頼られる弁護士であるために、どんな分野でも取り組めるよう、常に研鑽していく所存です。 分野を問わず、お気軽にご相談いただきたいと思います。

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