婚約を破棄された

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婚約を破棄された

「あんなに仲が良くて結婚の約束をしていたのに、突然婚約の解消を迫られた!」

この場合に相手に何か請求できるでしょうか?
約束したのだからきちんと結婚してほしい!
事実として相手にそう主張することはできますが、相手が結婚に応じなかったら。
結婚は、個人の自由意思が尊重されますので、相手が拒んでいる場合、強制的に結婚させるということはできません。
それでは、どのような請求ができるでしょうか?

慰謝料請求

慰謝料を請求できるでしょうか?
結論からいえば、婚約の不当破棄と認められれば請求が可能です。
これについて考えるには、
①婚約が成立していたといえるか
②不当破棄といえるか(正当な理由なしに破棄したといえるか)という点が問題となります。

①婚約が成立しているか?

婚約とは将来婚姻しようという当事者間の契約です。
必ずしも結納のような明確な行為が無くても婚約の成立が認められますが、誠心誠意、将来夫婦になることを約束するものでなければなりません。
そこで、当事者が真摯に結婚することを約束すれば、婚約が成立したことになります。

では、当事者で約束をしていたから、それに違反したので直ちに慰謝料を請求できるでしょうか?
慰謝料の発生する根拠として、法律的には不法行為責任(民法709条、710条)あるいは債務不履行責任(民法415条)とされますが、その婚約の関係が法律的に保護されるものであることが必要になります。
出会ったばかりの男女がすぐ婚約をして、すぐに破棄した、そういう場合には、まだ慰謝料は発生していない。そう考えることが適当と思えるのでないでしょうか。

法的に保護されるだけの婚約が成立していたかは、当事者間の交際状況、会話の内容、結婚に向けた具体的な準備や予定、親族への紹介、友人等への公表等のさまざまな事情から判断されます。
長年の交際や同居の事実があっても当事者に婚姻を成立させる意思がない場合には、婚約が成立しているとは認められません。

②不当破棄といえるか?(正当な理由があるか?)

婚約が成立していたとしても、相手が浮気をしていたとか、暴力をふるわれた等の事由があった場合にはこれからの結婚生活を始めることは躊躇されるのでその解消をすることが当然認められてよいでしょう。
しかし、このような正当な理由が無い場合には不当破棄の問題が生じます。
性格が合わないとか親族との折り合いが悪いといった理由では、正当な理由とされないと考えた方がよいでしょう(東京地方裁判所昭和43年3月30日判決、福岡地方裁判所小倉支部昭和45年12月4日判決等)。
婚約が成立しており、不当破棄であったと認められると慰謝料請求が認められることになります。

※なお、婚約を破棄した場合でも、破棄された側に責任がある場合(婚約破棄されて当然といえるような事情がある場合)には、婚約を破棄した側が慰謝料を請求できる場合があります(東京高等裁判所昭和48年4月26日判決)。

財産的損害の請求

婚約の不当破棄と認められると、結婚の準備に向けて支出した費用(結婚式の費用、家財道具の費用等)の財産的損害の賠償も認められます。
また、結婚のため退職した場合には、給与相当額について逸失利益として賠償が認められる場合もあります(徳島地方裁判所昭和57年6月21日判決)。

弁護士へ相談するということは、強い味方ができるということ

婚約を破棄されたのだけれど、自分に何か落ち度があったのだろうか?
婚約を破棄されてしまったが納得がいかない、相手に何か請求したい!
そうお考えの方は、弁護士へご相談ください。
相手方に約束通り結婚を求める、ということは困難ですが(一般的には、そのような相手とは縁がなかった、むしろ結婚してから問題が起きるより早めに別れてよかったと思った方がよいともいえるでしょう)、慰謝料請求ができるのか、これまで使った費用の請求ができるのかなど、適切なアドバイスをいたします。

この記事を書いた人

佐藤 剛志

弁護士 佐藤 剛志
福島県いわき市出身
慶応義塾大学卒業
2005年 福島県いわき市に佐藤法律事務所を開所

地域の皆様から頼られる弁護士であるために、どんな分野でも取り組めるよう、常に研鑽していく所存です。 分野を問わず、お気軽にご相談いただきたいと思います。

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