浮気って罪ですか???(その10)~浮気が罪だった時代もある②~密通御仕置之事
2022年04月14日
前回のところでは、明治時代に施行された姦通罪について触れた。
さらに遡って江戸時代はどうだったかというと、「公事方御定書」の下巻である「御定書百箇条」の中の
「四十八.密通御仕置之事」として、不倫関係が処罰されていたようである。
江戸時代は、不倫のことを「不義密通」と呼んでいたようである。
ちなみに、この「御定書百箇条」だが、国立国会図書館デジタルコレクションで見ることができる。
(「日本大学(明治)38年度第2学年講義録」とされている)
さて、「密通御仕置之事」には、26項目も掲げられている。
冒頭の項目は、「一 密通いたし候妻 死罪」とされている。
要は、「不倫をした妻は死刑」ということである(姦通罪同様、女性差別ぶりが激しい)。
二番目の項目では、「一 密通の男 死罪」とされている。
これは、「妻が不倫をした相手の男性も死刑」ということである。
三番目の項目では、「一 密通の男女共に夫殺候はは 無紛においては無構」とされている。
これは、「夫が妻と相手方男性をともに殺しても罪には問わない」ということである。
四番目以降の項目を見ても、いずれも重い処罰となっている。
処罰態様を見る限り、江戸時代の浮気は、命がけだったということになる。
「罪刑の均衡」(犯罪と刑罰はバランスが取れていなければならない)を原則とする現在の刑法の発想からすると、
罪刑の不均衡が著しかったものといわざるを得ないところである。
(ひとこと)
とはいえ、いろいろ調べてみると、「江戸時代において、不倫をバシバシ処罰していたかというと、そうでもない」というような記述も散見される。
「浮気されたことを知られるのは体裁が悪いので、お金で解決していた」などと説明されているが、なにせ江戸時代のことゆえ、正確な記録が残っているわけでもない。
人が殺されるような事態が少なかったことを祈るばかりである。