あなたの条文(4月10日) 民法410条 不能による選択債権の特定
2020年04月10日
日付から、日付の数字に関連する条文を紹介するこのコーナー、4月10日の今日は、「410条」がらみの条文を紹介したいと思います。
今日は、民法410条を取り上げます。この4月から、新民法が施行されておりますので、これからは、可能な限り民法を取り上げていきたいと思います。この条文も、一部改正がありました。
旧民法ではこのように規定されていました。
「(不能による選択債権の特定)
第四百十条 債権の目的である給付の中に、初めから不能であるもの又は後に至って不能となったものがあるときは、債権は、その残存するものについて存在する。
2 選択権を有しない当事者の過失によって給付が不能となったときは、前項の規定は、適用しない。」
新民法では以下のように改正されております。
「(不能による選択債権の特定)
第四百十条 債権の目的である給付の中に、不能のものがある場合において、その不能が選択権を有する者の過失によるものであるときは、債権は、その残存するものについて存在する。
(2項削除)」
選択債権とはなんぞや?という方も多いと思います。選択債権とは、いくつかある給付の中から、当事者が選択して決定できる債権のことをいいます(おにぎりかパンが1個ずつあるときに、どちらかを食べられるという権利など)。
改正でずいぶんすっきりしました。この条文は、要は、債権について、選択権を持っている人は、過失がなければ、不能の債権を選択することもできるということを言っています。「不能の債権て何?」となりますが、これは、例えば、パンを食べてしまってすでにパンがないというような場合を言います(パンがないから渡せない=不能)。「わざわざ不能の債権を選ぶってバカなの?」なんて言わないでくださいね。債権が不能だということになると、損害賠償請求ができるようになるのです。要は、「物が渡せないならお金で解決」となるわけですね。