あなたの条文(3月8日) 借地借家法38条
2020年03月08日
日付から、日付の数字に関連する条文を紹介するこのコーナー、3月8日の今日は、「38条」がらみの条文を紹介したいと思います。
「38条」で調べてみると、「38条書面(さんじゅうはちじょうしょめん)」というものがあることがわかりました(昨日は「37条書面」でしたね)。
これは、定期建物賃貸借の契約時や再契約に際し、賃貸人から、賃借人に対して、「契約の更新がなく、期間の満了により賃貸借は終了する」という内容を記載して渡す書面のことを指すようです。私も、定期建物賃貸借に関して、相談を受けたことが何度かありました。この38条書面が争点になったケースもいくつかありました。
借地借家法38条は、以下のように定めています。
「(定期建物賃貸借)
第三十八条 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない。
2 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。(4項以下、略)」
通常の賃貸借契約は、契約期間が満了となっても、賃借人が引き続き居住を希望すれば、原則として、更新されることとなります。通常の賃貸借契約の場合、賃借人は手厚く保護されているといってよいでしょう。
定期建物賃貸借は、賃貸人側のニーズを考えて、導入されたものです。
これは、定められた賃貸借期間の満了により、賃貸借契約が終了し、更新されることはありません。通常の賃貸借契約に比べて、賃借人の受ける不利益の程度が大きいため、定期建物賃貸借の場合、通常の賃貸借契約よりも、さまざまな条件(要件)を満たす必要があります。
例えば、定期建物賃貸借契約は、条文にありますように、公正証書等の書面で契約する必要があります。また、賃貸人は、契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、あらかじめ、賃借人に対して、その旨を記載した書面を交付して説明する必要があるのです(借地借家法38条2項)。
こういった要件を充足しないと、定期建物賃貸借とは認めてもらえず、通常の賃貸借契約とされてしまいます。そうすると、賃貸借契約を更新することもできるようになってしまうのです。借地借家法が、賃借人保護のために、賃借人の利益をなるべく守る方向で規定されているということがわかりますね。