ゴーン氏逃亡の件
2020年01月07日
昨日、弁護士で集まる機会がありました。
年末年始の様々な話題が出ましたが、弁護士同士ですので、やはり、ゴーン氏の話題が大きく取り上げられました。
「保釈保証金が15億円では全然足りなかった」とかいろいろ意見は出ました。
ただ、弁護士として危惧することは、裁判所において、せっかく保釈を認める方向での流れができていたのに、この流れが逆行してしまうことですね。
本来、保釈の請求があった場合、次の6つの事情がない限りは、原則として保釈を認めなければなりません(刑事訴訟法第89条)。
① 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき
② 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき
③ 被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき
④ 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき
⑤ 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき
⑥ 被告人の氏名又は住居が分からないとき
従来、④の「罪証隠滅のおそれ」などを容易に認める傾向が強く、保釈はなかなか認められなかったところです。
逃亡の危険性を危惧するのであれば、安易な身柄拘束に頼るのではなく、海外で行われているGPS装着等を速やかに検討し、制度化しておくべきだったと思います。