労働相談 いじめ・嫌がらせ
2019年07月05日
弁護士の佐藤剛志です。
平成30年度の個別労働紛争解決制度の運用状況が厚生労働省より発表されました。
「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、早期に解決を図るための制度で、「総合労働相談」、労働局長による「助言・指導」、紛争調整委員会による「あっせん」の3つの方法があります。
総合労働相談件数のうち民事上の個別労働紛争相談件数は、26万6535件
内、いじめ・嫌がらせ8万2797件、自己都合退職4万1258件、解雇3万2614件
労働局長による「助言・指導」申出件数は、9,835件
内、いじめ・嫌がらせ2,599件、自己都合退職965件、解雇963件
紛争調整委員会による「あっせん」申請件数は、5,201件
内、いじめ・嫌がらせ1,808件、自己都合退職1,112件、雇止め448件
でした。
以前は、相談内容で一番多かったのは解雇でしたが、平成24年を境に「いじめ・嫌がらせ」が最も多い相談内容となり、相談件数も増加しています。
解雇は相談件数自体が減少しています。
この統計から解雇、労働条件の引き下げといった会社が直接従業員に対して行う問題が改善されてきたと言えるかは分かりませんが、近年パワハラの問題が周知されてきましたので、以前は労働紛争として認識されてこなかった問題が広く問題として認識されてきた友言えそうです。
いじめやパワハラは、往々にして業務上の指導として行われることがありますので、それが正当な行為かどうか認定が難しい面もありますが、これらの制度を利用して早めに解決を図るのが良いと思われます。