民事執行法改正
2019年05月22日
弁護士の佐藤剛志です。
5月10日に改正民事執行法が成立しました。
令和元年5月17日の公布の日から1年以内に施行されるということです。
改正の内容は、以下のようなものです通りです。
1 債務者財産の開示制度の実効性の向上
金融機関から預貯金等に関する情報、日本年金機構等から給与債権に関する情報などを取得することができるようになりました(新206条、207条)。
2 不動産競売における暴力団員の買受け防止(新65条の2、68条の4等)
3 子の引渡しの強制執行に関する規律の明確化
執行官による強制的な子どもの引渡しを実施することが可能になりました
→当事務所 不倫・男女トラブル専門サイト ブログ「子の引渡し 民事執行法改正」https://trouble-sodan.com/blog/post-915/
4 差押禁止債権をめぐる規律の見直し
差押禁止債権の範囲の変更の制度の存在を裁判所書記官が債務者に教示することを義務付けました(新145条4項)。
今回の改正は、いずれも実務的には重要な改正だと思います。
特に、4番目の差押え禁止債権に関しては、債権者側からすると、債務者側に準備の期間を与えることになり差押えの実効性が弱くなる可能性があります。
債務者側の生活の確保のための改正ではありますが、例えば子どもの養育費の支払い確保のために元妻が元夫の給与を差押える場合など、債権者側の生活確保にとって差押えの実効性を確保することが重要です。
私たち弁護士としても、改正法の具体的な運用に十分注意しなければと思います。