証人尋問
2018年12月26日
弁護士の佐藤剛志です。
「証人尋問」というとどのようなものを思い浮かべるでしょうか。
テレビドラマに出てくる刑事裁判等では、検察官や弁護士が、証人の重要な矛盾をついて、それまでの形勢を一気に逆転させて有罪あるいは無罪の判決を勝ち取る、そんなシーンを思い浮かべるのではないでしょうか。
実際の裁判では、その様なことはあまりありません。
刑事裁判は、警察、検察が十分に捜査をして、犯罪事実を十分立証できると考えた上で起訴してきます。そこで、証人尋問で事実がひっくり返ることはあまりないのです。
実際に刑事裁判の証人尋問は、情状証人といって、被告人の親族などが刑を軽くしたり執行猶予をつけてもらうために、「被告人を雇います」とか「しっかり監督します」と言ったことを約束する機会になっているケースが多いです。
民事裁判では、多くの場合先に陳述書という書面を提出します。その書面には証人の主張したいことがまとめてあるので、証人尋問は陳述書に書いてあることの確認になるということが多いのです。
裁判官もそれまでに心証を形成している(事件についての判断の方向性を決めている)ことがほとんどだと思われます。
そこで、証人尋問で新たな主張をして、それまでの裁判官が形成していた心証(裁判所が決めていた事件についての判断)を覆すということがなかなか難しいのです。
私も、証人尋問では少しでも依頼者に有利な判決が出るようにいろいろと準備するのですが、勝訴できるかどうかは、その事件について何回か裁判の期日を経る中で、何となくわかってきます。
勝訴する事件は、証人尋問をしなくても勝訴できたというケースが大部分だと思います。証人尋問が成功したから勝訴できたという事件はなかなかないですね。