浮気って罪ですか???(その16) 慰謝料③ 不貞相手から「離婚」慰謝料は取れない
2023年03月30日
浮気って罪ですか???(その15)では、不貞慰謝料と離婚慰謝料の違いを書かせていただきました。
不貞慰謝料は、不貞行為自体についての慰謝料です。
離婚慰謝料は、配偶者の有責行為が原因で離婚した場合に請求できる慰謝料です。
当然、不貞慰謝料に比べて、離婚慰謝料の方が大きくなります。
以前は、不貞行為が原因で離婚に至った場合に、不貞相手に対しても離婚慰謝料まで請求しておりました。
こういった事案に関して、最高裁第三小法廷 平成31年2月19日判決が出されました。
この判決は、「夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は,これにより当該夫婦の婚姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても,当該夫婦の他方に対し,不貞行為を理由とする不法行為責任を負うべき場合があることはともかくとして,直ちに,当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解される。第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは,当該第三者が,単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。」と判示しました。
つまり、原則として、不貞相手に対する離婚慰謝料の請求はできないということを明らかにしたのです。
例外的に離婚慰謝料の請求がなされるのは、当該夫婦の離婚に積極的に関与したような特段の事情がある場合に限られるものとしたのです。
これ以降の実務では、不貞相手に対する離婚慰謝料の請求はなされなくなっております(その結果、慰謝料の請求額も以前よりは少なくなっていると思います)。