浮気って罪ですか???(その8)~結局、浮気は罪なのか?その帰結~
2022年04月12日
前回のところでは、罪刑法定主義について述べた。
罪刑法定主義は、どのような行為が犯罪に当たるかを国民にあらかじめ知らせることで、それ以外の活動が自由であることを保障するという「自由主義」と、何を犯罪とするかや、どういう処罰をするかについて、国民の意思を反映させるために、国民の代表者で組織される国会によって定めるべきであるという「民主主義」を根拠とする原理である。
罪刑法定主義は、ある行為を犯罪として処罰するためには、立法府が制定する法令で、犯罪及び刑罰を規定しておかなければならないとする原則であるから、「浮気」が罪だとされるためには、「浮気」が犯罪であり、処罰されるという法令がなければならないということになる。
では、刑法に浮気罪の規定はあるか?
答えは、No!である。
刑法の規定を見ても、浮気等の行為を処罰するような規定はない。
そうすると、標題の「浮気って罪ですか???」という問いに関して言えば、「罪ではありません」という答えになる。
ところが、わが国でも不貞行為が処罰されていたこともあった。
その点については、次回、触れてみたい。
(ひとこと)
この話題の最初の回に示した事案は、とある独身女性が、不貞相手の男性の親戚から、「浮気は犯罪なんです!窃盗と同じなんです!」と言われ、その勢いに威圧されて、「妻の親戚」という人から差し出された合意書に署名押印してしまったというものであった。
不貞相手の男性の親戚が言った、「浮気は犯罪なんです!窃盗と同じなんです!」というのは、大きな間違いであったということになるわけである。
間違った事実を告げられて合意書を作成してしまった独身女性としては、何か釈然としないものが残ると思う。
そのような場合に、考え得る法律問題については、追って述べていくこととしよう。