高齢者労災
2019年09月04日
弁護士の佐藤剛志です。
高齢者の就業者数の増加に伴い高齢者が労災事故に遭うことも増加しています。
厚生労働省は、高齢者の労災を防止するためにガイドラインを作成し、これに沿った取り組みをした中小企業を対象に助成金を支給することを検討しているそうです。
平成30年の労災による死傷者数は、厚生労働省の統計によると全体で約12万7000人、うち男性が約8万2000人、女性が約4万5000人です。
年齢別で男性では45~49歳が1万人を超え、最も多くなっていますが、就業者数自体が多いのでそれに比例して労災事故により死傷する人数も多いということでしょう。
各年齢で比較するには、労災の発生率を見ることが必要になります。
これによると男女とも、15~19歳、20~24歳は少し高く、25~29歳が最も低く、その後少しずつ上昇していき、男性は75~79歳、女性は65~69歳が最も高くなっています。
比率にして、男性は約2.3倍、女性は約4.9倍という数字が出ています。
高齢者は腰痛や転倒といったものが多いそうです。
特に女性は、高齢者の転倒事故が多く、転倒による死傷者の4分の1は60歳以上の女性で占められるということです。
職場での転倒防止対策(手すりの設置や滑りやすい床の改装などが考えられるでしょうか)が必要になるのでしょう。
なお、転倒については、降雪量との「強い相関関係」があるそうです。
降雪量は平成27年から30年まで毎年増加していますが、転倒災害も毎年増加しています。
なお、この統計は、降雪量の多い県の県庁所在地の降雪量をデータの根拠としていますが、転倒災害が多いのは、普段は雪の降らない都市が多いと思います。
いわきはほとんど雪が降らないので、たまに積雪があると、あちこちで事故がありますので、感覚的におそらくそう言えるのではないかなと思います。