消費税率引き上げに伴う鉄道運賃値上げ
2019年08月29日
弁護士の佐藤剛志です。
あと1か月ほどで消費税の税率が上がります。
(軽減税率などについては、昨年の11月下旬のブログに5回にわたって話題にしましたので、ご参照ください)。
特に公共料金への消費増税分の転嫁については、適正化どうか検討するため、消費者委員会公共料金等専門調査会が調査審議し、消費者委員会に意見を提出して、さらに消費者委員会が消費者庁や国交省にこの意見を踏まえて適切な対応を求めるという手続きが行われます。
今回の意見の中で、JR北海道を除くJR各社、大手私鉄、地下鉄は一括して検討されましたが、JR北海道だけ別個に調査審議されました。
これは、JR北海道以外の各社は、消費税増税分の値上げにとどまるの対し、JR北海道は同社の経営状況を踏まえて増収効果の見込める近距離運賃を大幅に値上げする方針を示したからです。
鉄道事業で効率的に収益を上げるには、ある程度の人口が線状に集中している必要がありますが、北海道のような面積が広大で人口密度の低い地方では、なかなか収益を上げることは難しいと思います。
この問題は交通機関の公共性の面をどのように考えるかということにかかわってきますが、ある程度の受益者負担もやむなしという判断から、北海道の特殊な事情を考えて、他社と異なる値上げに理解を示したものといえるでしょう。
今後人口が減少していくと、首都圏の大手私鉄も郊外の路線の維持が難しくなるというような意見もあるようです。
実際のところいわきでも普段はほとんどが車の移動でJRを利用することもたまにしかありません。
交通弱者対策などが求められていますが、その費用負担をどうするか、どのような交通手段を維持して行くかということは大きな問題だと思います。