名前の変更(未成年者の行為能力)
2019年03月19日
弁護士の佐藤剛志です。
先日いわゆるキラキラネームの高校生の改名が家庭裁判所で許可されたというニュースがありました。
ところで、名前の変更許可の申し立ては15歳以上であれば、本人が単独で行うことができます。
成人(20歳、2022年から18歳に引き下げられます)でないと単独ではできないのでは?そういう疑問もあるかもしれません。
民法は、「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。」(第5条第1項本文)として、原則として未成年者の行為能力(法律行為をするに足りる能力)を否定しています。
これは、判断能力が十分でないものが取引行為の犠牲になるのを防ぐために規定されたものです。そこで取引行為、財産上の行為の場合は、この趣旨が妥当するので、民法のこの規定がそのまま適用されます。
しかし、身分法上の行為の場合、本人の意思を尊重する必要があり、十分に理解した上で判断することができると考えられることなどから行為能力について異なった扱いがされています。
例えば、遺言は15歳以上であれば単独ですることができます。
名前の変更許可の申し立てについても、15歳以上であれば、十分な判断能力があると考えられ、15歳以上であれば、単独ですることが認められるのです。
法律の条文上の根拠となると、やや複雑なのですが、民事訴訟法31条本文、家事事件手続法17条1項、同118条1項柱書、同127条本文、同別表第1の122(戸籍法107条の2)になります。
興味のある方は、条文を見ていただきたいと思いますが、構造として、名前の変更許可の申立も家事事件なので本来は行為能力の適用がある(民事訴訟法31条本文、家事事件手続法17条1項)、ただし本人の意思を尊重する必要があるので例外として能力について緩和される(家事事件手続法118条1項柱書、同127条本文、同別表第1の122(戸籍法107条の2))というものです。