浮気って罪ですか???(その13)~「犯罪です」が嘘だとすると・・・➂~

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佐藤法律事務所

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2022年04月23日

 事案では、「独身女性」は、「妻の親戚」という人の勢いに威圧されているという事情もある。
 前回取り上げた、民法第96条(詐欺又は強迫)の第1項は、「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。」としている。
 そこで、「強迫」による取消しということも考え得る。
  
 ただ、強迫取消も、単に威圧的だったというだけで、この規定が適用されるわけではない。
 強迫取消が認められるための要件としては、以下の要件が必要とされている。

 1 行為者に、相手に恐怖心を生じさせ、一定の意思表示をさせようとする意思があること
 2 強迫行為があること
 3 強迫行為を受けた者がその行為によって恐怖心を生じさせ、強迫行為者が意図した意思表示をすること
 4 強迫行為に違法性があること

 さて、前回、欺く行為をした人間の意思を立証するのはなかなか難しいということを書いたが、強迫の場合の上記1の意思は鷺の場合よりは認められやすいような気がする。
 強迫行為(要は「脅し」)自体は、客観的に認定しやすいので、客観的に強迫行為が認定されれば、いくら「そんなつもりはなかった」と言っても、言い訳が通りづらい気がするのである。

 本件の事案に関して言えば、「浮気は犯罪なんです!」と言った人の本件「独身女性」の合意書作成に向けた行為が「強迫」と認定され、独身女性が、恐怖心によって合意書を作成したというような場合には、この独身女性は、合意書に関する意思表示を取り消すことができるということになる。

(ひとこと)
 さて、本件の事案のもとになった事案において、「独身女性」の代理人は、「詐欺取消し」、「強迫取消し」をそれぞれ主張したが、裁判所にはそれらの主張は認めてもらえなかった。
 「妻の親戚」の欺く意思や強迫行為等の証明が難しかったというところであろう。
 裁判所は、客観的な書面が存在するものについて、内心面で覆すということには躊躇する。
 とりわけ「合意書(契約書)」はいわゆる「処分証書」と呼ばれており、それ以外の「報告証書」よりも証明力が強いとされているので、よりこれを覆す方向にはなりづらいのである(この点についてはまた別の機会に述べたい)。
 

この記事を書いた人

佐藤 剛志

弁護士 佐藤 剛志
福島県いわき市出身
慶応義塾大学卒業
2005年 福島県いわき市に佐藤法律事務所を開所

地域の皆様から頼られる弁護士であるために、どんな分野でも取り組めるよう、常に研鑽していく所存です。 分野を問わず、お気軽にご相談いただきたいと思います。

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