あおり運転偽情報 起訴相当

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佐藤法律事務所

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2019年10月18日

 

弁護士の佐藤剛志です。

ネット上で虚偽の情報を投稿して名誉棄損の疑いで書類送検され、福岡地検小倉支部が不起訴とした者に対して、小倉検察審査会が「起訴相当」の議決をしました。

書類送検された者らは、あおり運転をして東名高速道路で車を停止させ、後ろから来た車に追突されて夫婦2人が死亡した事故について、無関係の建設会社を被告の勤務先などと虚偽の投稿をしました。このことについて名誉棄損の罪を問えるかが問題となっていました。

今日、ネットの影響力は大きいので、虚偽の情報が流されると不利益が大きく、刑罰による抑止力で安易な投稿に警鐘を鳴らすという意図でこのような判断がなされたということです。

 

ところで、刑事訴訟法247条は「公訴は、検察官がこれを行う。」として、起訴の権限を検察官に限って認めています(起訴独占主義)。
これは、刑事裁判が被告人にとって重大な負担を与えるものなので、起訴の権限を公正な国家機関にのみ認めるのが適当であると考えたからです。
そして、検察官は、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。」(刑事訴訟法248条)とされ広範な裁量権を有しています(起訴便宜主義)。

しかし、このような広範な裁量権を持つだけに、国民から見てその適切に起訴が行われていないと思われるような場合、司法権の行使に対する国民の信頼を失うこともあり得ます。

そこで、国民の意見を反映すべく検察審査会の制度が設けられました。

この事件については、福岡地検小倉支部は、不起訴としましたが、会社側はこれを不当だとして検察審査会に審査を求めていたところ、検察審査会は「起訴相当」と議決したものです。

福岡地検小倉支部が再捜査をしますが、起訴するかどうかは、地検の判断にゆだねられます。
これに不服がある場合、再度検察審査会に申立をして再び「起訴相当」の議決をすれば強制起訴されます。

なお、先日判決が出た、福島第一原子力発電所の事故についての当時の東京電力役員の過失責任を問う裁判も、東京地検が2度不起訴とし、検察審査会が再度「起訴相当」と判断して強制起訴された事件でした。

この記事を書いた人

佐藤 剛志

弁護士 佐藤 剛志
福島県いわき市出身
慶応義塾大学卒業
2005年 福島県いわき市に佐藤法律事務所を開所

地域の皆様から頼られる弁護士であるために、どんな分野でも取り組めるよう、常に研鑽していく所存です。 分野を問わず、お気軽にご相談いただきたいと思います。

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