電車の座席に座る権利

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2019年06月14日

 

弁護士の佐藤剛志です。

通勤電車の朝のラッシュ時間帯の「電車の座席に座る権利」が「メルカリ」に出品されたことが問題になっていますね。

千葉県を走る通勤電車なので、千葉県の迷惑防止条例に違反する行為となり、5万円以下の罰金又は拘留若しくは科料(常習性が認められると6か月以下の懲役又は20万円以下の罰金)が科せられることになります。

以下、関係する条文です。
(座席等の不当な供与行為(ショバヤ行為)の禁止)
第9条 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、不特定の者に対し、みだりに、座席、座席を占めるための行列の順位又は駐車の場所を占める便益を対価を得て供与し、又は供与しようとしてはならない。

第15条 第3条第1項若しくは第4項、第4条から第10条まで又は第12条第2項の規定のいずれかに違反した者は、5万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
2 常習として第3条第1項若しくは第4項、第4条から第10条まで又は第12条第2項の規定のいずれかに違反した者は、6月以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

迷惑防止条例は、痴漢行為、盗撮行為でよく適用が問題になる条例ですが、最近ではストーカーの防止についても適用が問題となっています。

ダフ屋を禁止する条項もあり、こちらの方がイメージしやすいと思いますが、座席等を供与する行為は「ショバヤ行為」というのですね。

今回出品された「電車の座席に座る権利」は1日600円の価格が付けられていたそうです。
首都圏の通勤ライナーの座席指定券が500円前後であることや始発駅で座席を確保する手間を考えると法外な価格でもなさそうなので、暴利を得ることはできなさそうです。

金額だけを考えると、コンサートチケットなどが高値で転売されていることの方が大きな問題の気もしますが、そもそも販売の対象となるのかという点で、通勤電車の「電車の座席に座る権利」というのは非常に違和感があります。

ネットオークションなどでは、いろいろなことを考える人がいるのだなと思います。

この記事を書いた人

佐藤 剛志

弁護士 佐藤 剛志
福島県いわき市出身
慶応義塾大学卒業
2005年 福島県いわき市に佐藤法律事務所を開所

地域の皆様から頼られる弁護士であるために、どんな分野でも取り組めるよう、常に研鑽していく所存です。 分野を問わず、お気軽にご相談いただきたいと思います。

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