民法解説シリーズ 総則編 8
2019年05月31日
弁護士の佐藤剛志です。
民報解説シリーズ 今回は、「代理」についてです。
前回の意思表示からしばらく空きましたが、思い付きで書いていますので、ご容赦ください。
まず、日常用語的に「代理」というと、頼んだことを代わりにやってもらうという感覚だと思いますが、法律的に「代理」とはどういうことかを説明します。
法律行為は、本人が自らするのでその効果がその本人に及ぶのですが、代理は、代理権を有する他人(代理人)がその権限の範囲内で本人のために法律行為をすること(代理行為)で、その本人に効果が及びます。
このことを民法99条1項は、「代理人がその権限の範囲内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生じる。」と規定しています。
代理には、
①例えば、弁護士に訴訟を代わりにしてもらう場合など、自身も有効に意思表示することは可能だが、様々な理由から本人の意思で代わりの人にしてもらう任意代理と、
②例えば、未成年者や成年被後見人など自らが有効に意思表示をできない者のために、それを補うために行う法定代理があります。
①任意代理は、本人と代理人の間で、どのような権限を与えるかが決められますので、その権限の範囲の法律行為について効果が及びます。
②法定代理は、法律でその要件や効果が規定されているので、その規定に従うことになります。
なお、本人が全く代理の権限を与えていない場合(「無権代理」と呼ばれます)や与えた権限の範囲を超える場合でも、例外的に効果が本人に生じる場合があります(「表見代理」と呼ばれます)が、これについては別に説明します。
次から順番に説明していきます。