高校の学科
2019年05月16日
弁護士の佐藤剛志です。
先日、政府の教育再生実行会議で高校の普通科に、各校が重視する教育を明確にし、特色を類型化するよう提言することを決めたというニュースがありました。
現在の普通科は大学受験を主にした授業編成が大半で、個々の生徒の能力や関心に対応できていないという指摘を考慮したものということです。
ここで、以前の人口推計のブログを書いた時に、高校の進学率を調べるため文部科学省の統計を見てみましが、そこには、進学率の他に学科ごとの生徒数の割合の統計もありました。
かつては、普通科約6割、職業学科(工業、商業、農業等)が4割という構成でしたが、昭和40年代後半から職業学科の割合が低下していき、昭和60年(1985年)頃から普通科が7割強、その他が3割弱でした。
その後も職業学科は減っていきましたが、平成6年に総合学科が設置されると、これが少しずつ増えていき、平成20年(2008年)ころからおおむね、普通科7割超、職業学科(工業、商業、農業等)18~19%、総合学科5%強、その他の専門科(理数科、体育科等)3%強となっています。
私が高校生の頃は、総合科というものがなかったので、なかなかイメージがわきにくいのですが、総合科は普通科と職業学科の中間的な位置づけということです。
卒業後、大学に進学するか就職するかということを明確に決めていない生徒に対応する学科ということもできそうです。
私も高校時代は大学進学ということは決めていましたが、その先どのような職業につこうかということまで明確に決めていたわけではありませんでした。真剣に弁護士になろうと決めたのも大学進学後の3年生の頃でした。
個性を活かすということで教育を多様化するということは必要なことかもしれませんが、高校入学の段階で、将来の自分の職業を明確に決めるということも難しいかと思います。
専門的な知識は、実際に就業してから身に着けていくこともできるかと思いますので、その知識を理解・吸収するための基礎的な学力をしっかり身に着けさせるということの方が重要な気もします。