長時間労働と心筋梗塞リスク
2019年03月26日
弁護士の佐藤剛志です。
1日の労働時間が11時間以上の中年男性の急性心筋梗塞の発症リスクは、7~9時間の人に比べて1.63倍も高い!
以上のような、国立がん研究センターなどの研究調査の結果が公表されました。
特に、会社員(勤務者)の方が、会社員(勤務者)以外に比べて2.11倍
追跡開始時の年齢が50歳から59歳の者は、追跡開始時の年齢が40歳から49歳の者に比べて2.6倍
という結果だそうです。
会社員(勤務者)以外は長時間働いても心筋梗塞のリスク上昇は見られなかったということです。
この結果については、会社員(勤務者)は仕事の裁量権がないのでストレスが溜まりやすい、反対に、会社員(勤務者)以外、つまり経営者は自身の裁量で仕事ができるのでストレスが溜まりにくいという分析のようです。
確かに自分のやりたい仕事をしているのでストレスがかかりにくいと言えるのかもしれません。
しかし、これは全くの私見ですが、会社員(勤務者)以外は、経営についてのストレスが元々大きいので、勤務時間にあまり関係がないのではないかという気もします。
私も、特殊な事件で過去の裁判例が少なかったり、類似事件が少なかったりする事件では、裁判での見込みがなかなか読めいことなででストレスを感じているなと思うこともあります。
この分析が一般化できるのか、なかなか評価としては難しい気がします。
なお、国立がん研究センターのHPでは、この調査に関して「地方の5保健所の管轄区域内に居住する労働者を対象とした調査であるため、都市部をはじめ、日本全体の労働者に対して一般化することには慎重であるべきと考えます。」と記載されています。
いずれにしても、調査結果をどう分析するか、その結果をどう活用するかということが、統計調査などにおいては重要ですね。