民法解説シリーズ 総則編2
2019年01月23日
弁護士の佐藤剛志です。
今回は、「意思能力」、「行為能力」についてです。
現行法は、「第二節 行為能力」の規定をおき、行為能力が制限されるものとして未成年者や被後見人などを規定していますが、「意思能力」についての規定は明文ではありません。
改正法は、「第二節 意思能力」として第3条の2で「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。」と規定し、「第三節 行為能力」として未成年者や被後見人の規定を置いています。
「意思能力」とは、法律上の判断ができる能力をいいます。
「行為能力」とは、法律行為をするに足りる能力をいいます。
法律行為の効果は、それを発生させる意思があるから認められます。意思能力がなければ、その意思が認められず法律行為の効果を発生させることができないので、法律行為は無効とされるのです。
しかしある人が意思能力があるかどうかは、相手方にとって正確に分かるとは言えません。そこで、類型的に判断能力が低いと思われる者を制限行為能力者として、その者の法律行為を取り消し可能として、判断能力の低いものを保護し、相手方の取引の安全を諮ろうとしているのです。
民法は、制限行為能力者として、未成年者(4条)、被後見人(7条以下)、被保佐人(11条以下)、被補助人(15条以下)を規定しています。
成年後見制度は、対象者の保護を図ることを目的としていますが、相手方の取引の安全を保護する制度でもあるのです。