罪刑法定主義①

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2018年12月18日

弁護士の佐藤剛志です。

先日東名高速道路でのあおり運転の事件で懲役18年という判決が出されました。
この判決については、被告人の身勝手な行為で人が2人も死んでいるのにそんな軽い刑でいいのか?死刑にならないのか?とういう意見がかなりあるようです。

私も事件の報道等から考える限り、被告人には、しっかり反省してほしいと思います。
しかし、重大な結果が生じているから被告人を死刑にできるかと言うと、それは現代の掲示裁判ではできません。
それは「罪刑法定主義」という近代刑法の大原則があるからです。

「だから弁護士は!」、「犯罪者の味方ばかりしている!」という批判もあるかと思いますが、ここで少し立ち止まって、なぜ「罪刑法定主義」が近代刑法の大原則とされているのか、「罪刑法定主義」ということの重要性を考えてみてください。

中世の社会などでは国王が国民を根拠なしに勝手に処罰することができました。
しかし、これでは国民はたまったものではありません。

そこで、あらかじめ法律で犯罪となる行為を定めておき、その犯罪を行った場合の刑罰も法律で定めておくものとしたのです。

日本国憲法第31条の「何人も、法律の定める手続きによらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。」との規定が、この罪刑法定主義を規定しているとされています。

危険運転致死傷罪は、「次に掲げる行為(※各号に危険運転の類型を規定しています)を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。」(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条)と法定刑として死刑はないので、死刑が選択できないのです。

このような行為は死刑に値すると考えるのであれば、国会で法律を改正しないといけないのです。

この「罪刑法定主義」と今回の判決については、次回のブログで考えてみたいと思います。

この記事を書いた人

佐藤 剛志

弁護士 佐藤 剛志
福島県いわき市出身
慶応義塾大学卒業
2005年 福島県いわき市に佐藤法律事務所を開所

地域の皆様から頼られる弁護士であるために、どんな分野でも取り組めるよう、常に研鑽していく所存です。 分野を問わず、お気軽にご相談いただきたいと思います。

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