医学部不適切入試問題
2018年12月14日
弁護士の佐藤剛志です。
ここのところ医学部入試に際して、いくつかの医大・医学部で女子や浪人生を不利に扱っていたことが報道されています。
司法試験でも以前丙案と言って受験期間の短い者を優遇する制度が採用された時期がありました。
司法試験の場合、若手の合格者の割合が低く検察官の任官希望者が減少していたので、若手の合格者を増やしたいというのが丙案制度の採用のきっかけでした。
一連の医学部の入試においても勤務の厳しい外科医等の採用の必要性などからこれらの措置が取られていたようです。
それぞれの試験が検察官や医師の採用試験という性格の面からこのような男性や若手を優遇する措置が採られたものと思えます。
ただし、丙案の場合は、制度を実施する以前から議論され、その年の試験要綱に明確に記載されていたのに対して、医学部入試の場合は事前に知らされていなかったということが大きく違うと思います。
医療の現場を考えた場合若手の男性医師を確保する必要性があるということは分からなくもありませんが、一般的に試験の成績で合否が決まると考えられている入試において、事前の告知なしに、内部的にその他の事情を考慮して、合否を決定したということが一番の問題だと思います。
どのような医師が必要かということは国民の医療に直結することなので、個々の医大・医学部が判断するというのではなく、国民全体で問題にすることなのかもしれませんね。
丙案の導入は司法制度に関連する問題でしたが、その後の法科大学院制度などの一連の司法制度改革については、一部報道などはありましたが、あまり国民の関心はなかったように感じました。