あなたの条文(4月23日) 民法423条 債権者代位権の要件
2020年04月23日
日付から、日付の数字に関連する条文を紹介するこのコーナー、4月23日の今日は、「423条」がらみの条文を紹介したいと思います。
今日は、民法423条を取り上げます。
この4月から、新民法が施行されております。民法423条も大きく改正されている条文の1つです。
改正前の民法423条は以下のとおり規定していました。
「(債権者代位権)
第四百二十三条 債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。
2 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。」
債権者代位権に関する条文はこの条項だけでした。しかし、改正法では、民法423条の7まで債権者代位権に関する条文となっております。今回は、新しい民法423条だけを取り上げます。改正民法423条は以下のように規定しています。
「(債権者代位権の要件)
第四百二十三条 債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
2 債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。
3 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、被代位権利を行使することができない。」
債権者代位権とは、債権者(甲)が、債務者(乙)が第三債務者(丙)に対して有している債権を、債務者に代わって行使できるという権利です。他人の意思にかかわらず、他人の権利を行使してしまうわけですから、無制限というわけにはいきません。例えば、債務者に支払い能力があるような場合には、この権利は行使できないわけです。そこで、条文上、「自己の債権を保全するため必要があるとき」とされています。
2項では、裁判上の代位ということが実務的にほとんどなされてなかったことを受けて、削除されています。
3項についてですが、解釈上、強制執行によって実現できない債務については、債権者代位権の行使が認められていなかったものを明文化したものです。