民法解説シリーズ 総則編 10

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佐藤法律事務所

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2019年06月04日

 

弁護士の佐藤剛志です。

次に、本人が権限を与えた任意代理の場合について説明します。

任意代理は、本人の取引行為が多くて本人が自身で全部の取引行為をできない場合に、他人(代理人)に代わって取引行為をしてもらう場合に利用されます(「私的自治の拡大」という言葉を使います)。

例えば、Aさんが賃貸マンションを探していて掘り出し物を見つけたが、2週間程度の出張の予定が入っており、戻ってきたときには既に他の人に契約されてしまう可能性が高いという状況があったとします。
この場合、代わりに友人Bさんに契約に行ってもらうという場合などです。

今時は、マンションを借りるときにも、本人確認をするのが通常ですから、他の人に契約をお願いするケースは少ないとは思いますが、どうしてもその部屋を借りたいというときには、代理ということを考えるでしょう。

不動産業者としても、BさんがAさんの代理人として、契約することが確実に分かっていれば、Aさんが借主としてマンションの賃貸借契約を結ぶことを承諾するでしょう。

つまり、①契約者(借主)がAさんであることが分かり、②代理人(Bさん)が、本人(Aさん)から代理する権限を与えられていることが確認できれば、不動産業者としては、Aさんとの賃貸借契約を結ぶでしょう。

これをもう少し詳しく説明すると、順番が逆になりますが、
②そもそも他人の行為の効果が自身に生じることが認められるのは、本人がその効果を望んだからであり、その他人(代理人)に、具体的に頼む行為を特定して代理する権限(代理権)を与えたからです。
民法99条は、「その権限内において」と代理は、本人が代理人に与えた代理権の範囲においてのみ効果が生じることを規定しています。
代理人にマンションの賃貸借契約の権限を与えたのに、代理人が分譲マンションの購入契約を結んできたとしたら、本人は、ちょっと待てということになるでしょう。
代理は、自身に代わって代理人に法律行為をしてもらうので、代わってしてもらいたい行為だけ権限を与えるのですから、代理行為の効果が有効に生じるのは、本人が与えた権限の範囲内でということは当然のことになります。
(もっとも、例外として、代理行為の相手方を保護するため、代理の権限を越えた場合や、代理権を与えていなかった場合でも、本人に効果が生じる場合があります。表見代理の問題ですが、これは、別の回で説明します。)
次に、①契約者(借主)がAさんであることが分かるというのは、BさんがAさんが借主であるということを不動産業者に伝えるからです。
これは、法律的には「顕名」と言われますが、民法99条で「本人のためにすることを示して」と規定されています。
そこで、BさんがAさんの代理であることを全く伝えないでマンションを借りたいと言った場合、不動産業者は、契約者(借主)はAさんではなくBさんだ、と考えて契約するかどうか判断するでしょう。
Bさんは、公務員で収入も安定しているから貸しても大丈夫と判断したのに、契約書にはフリーターで収入が少ないAさんの名前が書かれていた、Bさんの名前はどこにも出てこない、となったら不動産業者は、この契約は一旦保留しようと考えますよね。

このように代理権の存在と顕名が代理の効果が有効に発生する要件となります。

この記事を書いた人

佐藤 剛志

弁護士 佐藤 剛志
福島県いわき市出身
慶応義塾大学卒業
2005年 福島県いわき市に佐藤法律事務所を開所

地域の皆様から頼られる弁護士であるために、どんな分野でも取り組めるよう、常に研鑽していく所存です。 分野を問わず、お気軽にご相談いただきたいと思います。

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